近年のゲーム業界の売上推移
2020年からのパンデミックにより、ゲーム業界は一時的に大きな成長を遂げました。
自宅で過ごす時間が増えたことにより、ゲーム需要が急増し、多くの企業がその恩恵を受けました。
しかし、2023年に入り、ゲーム業界の売上は徐々に落ち着きを見せ始めています。
特にパッケージゲームの売上は低迷し、デジタルダウンロードやサブスクリプションモデルにシフトが進んでいる中で、消費者の購買行動も変化しています。
売上は一部企業で回復の兆しを見せていますが、全体としてはまだ厳しい状況です。
特にコンシューマーゲーム市場では、新作タイトルの開発費が高騰する一方で、売上目標に届かないことが多くなっています。
この流れが今後どう影響を与えるか、業界全体が注視している状況です。
任天堂でさえも純利益マイナス39%
ゲーム業界の巨頭である任天堂でさえ、2023年度の純利益が前年度比でマイナス39%という驚くべき結果となりました。
スイッチが大ヒットを記録してから数年が経ち、次世代機への期待が高まっている一方で、現行のハードとソフトの販売は減少。
加えて、消費者の期待がさらに高まり、ゲームに対する要求も厳しくなっています。
これにより、既存タイトルの売上が鈍化しているのです。
特に、「ゼルダの伝説」や「マリオ」シリーズといった大ヒット作を抱えている任天堂でさえ、収益性を維持するのが難しくなっている現状には、業界全体がショックを受けています。
今後、次世代機の発表がこの状況をどう変えるかが大きな鍵となります。
スマホゲーム系も苦戦中
スマホゲーム業界も、かつての黄金期から一転し、今や苦戦を強いられています。
理由の一つは、ユーザーの飽和状態と競争の激化です。
かつては無料ゲームに課金アイテムを盛り込む形で大きな利益を生んでいましたが、今では同じようなゲームが溢れており、ユーザーの選択肢が増えすぎてしまったのです。
また、ゲーム内広告や課金モデルに対する消費者の反発も増えてきました。
これに加え、App StoreやGoogle Playの手数料の高さが、開発者側の収益を圧迫していることも問題です。
市場全体が飽和している中、新しいゲームがヒットするには、斬新なアイデアや高いクオリティが求められるようになっています。
そのため、小規模な開発スタジオにとっては、これまで以上に厳しい戦いが続いています。
好調なのはスクエニぐらい
そんな中でも、比較的好調な企業として名前が挙がるのがスクウェア・エニックスです。
特に「ファイナルファンタジー」シリーズや「ドラゴンクエスト」といった大作RPGを擁し、ファン層が厚いことが一因でしょう。
スクエニは、新作タイトルだけでなく、過去の名作リメイクやリマスター版も販売しており、これが長年のファンだけでなく、新規ユーザーにも支持されています。
また、同社はオンラインゲーム市場にも積極的に進出しており、特に「ファイナルファンタジーXIV」の成功が好調な業績に貢献しています。
今後もオンラインゲームやサブスクリプションサービスを強化し、安定した収益を見込めるでしょう。
ただし、これが他の企業にとってもモデルケースとなるかは、まだ未知数です。
新卒者へ。就職におすすめのゲーム会社
これからゲーム業界に飛び込む新卒者にとって、どの企業を選ぶかは非常に重要です。
大手企業では、先述したスクウェア・エニックスや任天堂などが安定した就職先として人気があります。
特にスクエニは、オンラインゲームやモバイルゲームにも強い影響力を持っており、今後の成長が期待されています。
また、カプコンやバンダイナムコもおすすめです。
「モンスターハンター」や「鉄拳」など、国際的に評価の高いタイトルを持っており、安定した収益を上げ続けています。
中小規模のゲームスタジオでも、ユニークなアイデアや斬新な技術を取り入れている企業は多数存在します。
特に、インディーゲーム市場の拡大に伴い、小規模なスタジオでも大ヒットを生み出す可能性があります。
若い人材が積極的に挑戦できる環境を求めるなら、中小企業も一つの選択肢です。
ゲーム業界の今後
2024年以降、ゲーム業界はさらに厳しい競争が予想されます。
特に、次世代ハードの開発とリリースにより、コンソール市場が再び活気を取り戻す可能性があります。
クラウドゲームやVR、ARといった新しい技術が今後の成長を牽引するでしょう。
ただし、技術の進化に伴って、開発コストも増加していくため、企業は効率的な開発体制と斬新なアイデアが求められます。
さらに、環境問題や社会的な要請にも応える必要があるため、ゲーム業界全体が新たな挑戦を迫られることになるでしょう。
消費者も、単なる娯楽を超えた体験を期待しており、これからのゲームには「感動」や「社会性」を備えた要素がますます求められることが予想されます。
業界に身を置くリーマンとして、これからのゲームは、より深く、人々の心に響く作品が主流になっていくと感じています。